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政策金利が31年ぶりの高水準!私たちの生活はどう変わる?

はじめに

 2026年6月16日の金融政策決定会合にて、日銀は政策金利を1.0%に引き上げることを決定しました。 これは、約31年ぶりの高水準です。 この歴史的な利上げは、私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか? また、そのメカニズムはどのようなものなのでしょうか? 今回の記事では、これらのことについて、そもそも政策金利とは何かという基礎的なところから出発して、分かりやすく解説します!

目次

政策金利とは何か

 政策金利とは、中央銀行が主に物価を安定させるために操作する金利のことです。 世の中に数ある金利の中からどの金利を政策金利とするのかは、中央銀行によって異なります。 日本の中央銀行である日銀の場合、現在は「無担保コールレート(オーバーナイト物)」を政策金利としています。 これは、銀行などの金融機関が、他の金融機関から、翌営業日を返済期限として担保なしで資金を借りる場合に発生する金利です。 日銀は、この金利の操作により、物価の安定を図ります。

政策金利の操作はどのように実現されるのか

 前章では、日銀は政策金利である「無担保コールレート(オーバーナイト物)」の操作により、物価の安定を図ると言いました。 しかし、この金利はあくまで市中の金融機関の間で取り決められるものなので、日銀は直接この金利を上げ下げすることはできません。 では、日銀はどのようにしてこの金利を操作するのでしょうか? 主な方法は次の3つです。

  • 日銀に金融機関が預けている資金の利息を調整する
  • 日銀が金融機関に貸し付ける資金の利息を調整する
  • 日銀が金融機関との間で証券を売買する

以下でそれぞれについて説明します。

日銀に金融機関が預けている資金の利息を調整する

 市中の金融機関は日銀に資金を預けておくことができます。 この預金に利息が付けば、金融機関は非常に安全な運用利回りを得ることになります。 すると、金融機関は、他の金融機関に資金を貸す際、この利息よりも高い金利を求めるようになります。 なぜなら、この利息よりも低い金利で資金を貸すくらいなら、日銀に資金を預けたほうが儲かるからです。 したがって、日銀はこの利息を調整することにより、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」の下限を操作することができます。

日銀が金融機関に貸し付ける資金の利息を調整する

 市中の金融機関は日銀から資金を借りることができます。 すると、金融機関は、他の金融機関から資金を借りる際、日銀からの借金につく利息よりも安い金利を求めるようになります。 なぜなら、この利息よりも高い金利で資金を借りるくらいなら、日銀から資金を借りたほうが負担が少ないからです。 したがって、日銀はこの利息を調整することにより、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」の上限を操作することができます。

日銀が金融機関との間で証券を売買する

 日銀は市中の金融機関との間で証券を売買することができます。 日銀が金融機関から証券を買えば、金融機関にその代金が流入することになるので、金融市場に出回る資金が増えます。 すると、金融市場で資金が余りだし、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」に下押し圧力がかかります。 逆に、日銀が金融機関に証券を売れば、金融機関からその代金が流出することになるので、金融市場に出回る資金が減ります。 すると、金融市場で資金が不足しだし、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」に上押し圧力がかかります。

政策金利の操作はどのように物価を安定させるのか

 前々章では、日銀は物価の安定のために政策金利を操作すると述べました。 より具体的には、日銀は、インフレを抑制するためには利上げをし、デフレを脱却するためには利下げをします。 なぜ、このような政策金利の操作が物価の安定につながるのでしょうか? この章ではインフレ抑制のための利上げに絞って、そのメカニズムを説明します。 利下げについてはこの章の内容と逆のことが起きると理解してください。

 利上げがインフレを抑制する主な理由は以下の4点です。

  • 消費が抑制されるため
  • 投資が抑制されるため
  • 円安が抑制されるため
  • 期待インフレ率が抑制されるため

以下でそれぞれについて説明します。

消費の抑制

 政策金利が上がると、銀行が短期的に資金を調達するコストが上がります。 すると、銀行はそのコストを踏まえて、ローンの金利を引き上げます。 これにより、家計は、住宅や車などをローンを組んで購入することを諦めがちになります。 また、銀行も、貸し倒れのリスクを避けるために、ローンの与信審査を厳しくします。 結果として、家計がローンを組んで商品を購入することが難しくなります。 さらに、仮にローンを組めたとしても、ローン返済の負担が増すので、可処分所得が減り、ローンを組むまでもない日常的な消費が抑えられます。

 消費が抑制される原因は、ローンの金利上昇だけではありません。家計の保有資産価格への下落圧力も原因になります。政策金利が上昇すると、多くの資産の価格に下落圧力がかかります。なぜなら、金融機関にとってみれば、日銀への預金や、他の金融機関への超短期の貸出といった安全な資産運用の利回りがこれまで以上に高くなるからです。すると、他の資産の魅力が相対的に低下し、結果としてそれらの資産の価格に下落圧力がかかることになります。このようにして家計の保有資産の価格に下落圧力がかかると、家計は積極的に消費をしなくなります。

 このように、政策金利の利上げにより、家計による消費が抑制されます。 すると、企業は商品を値上げしづらくなるので、インフレが抑制されます。

投資の抑制

 前節で、政策金利が上がると、銀行が短期的に資金を調達するコストが上がると言いました。 すると、銀行はそのコストを踏まえて、企業への貸出の金利を引き上げます。 これにより、企業は、銀行からの借入により設備投資などの投資を行うことを諦めがちになります。 また、銀行も、貸し倒れのリスクを避けるために、貸出の与信審査を厳しくします。 結果として、企業が銀行からお金を借りて投資を行うことが難しくなります。

 投資が抑制される原因は、銀行貸出の金利上昇だけではありません。企業の保有資産価格への下落圧力も原因になります。そのメカニズムは、前節で説明した、家計の保有資産価格への下落圧力が消費の抑制につながる仕組みと同様です。

 このように、政策金利の利上げにより、企業による投資が抑制されます。 すると、投資にまつわる商品の需要に縮小圧力がかかるので、それらの商品を取り扱う企業は値上げをしづらくなり、インフレが抑制されます。

円安の抑制

 前々節で、政策金利が上昇すると、多くの資産の価格に下落圧力がかかると言いました。 すると、それらの資産の利回りに上昇圧力がかかります。 なぜなら、利回りとは、収益を資産価格で割ったものだからです。 収益が変わらないなら、資産価格の下落により利回りは上昇します。

 この上昇圧力により、円建ての資産の魅力が高まり、国際的に円の需要に拡大圧力がかかります。 結果として、円安が抑制される場合があります。 円安が抑制されると、輸入品の価格に下落圧力がかかります。 このようにして、インフレを抑制することができるのです。

期待インフレ率の抑制

 期待インフレ率とは、人々が予測している将来のインフレ率のことです。 日銀の利上げには、この期待インフレ率を抑える効果があります。 なぜなら、利上げは、日銀はインフレを放置しないというメッセージになるからです。

 期待インフレ率が抑制されると、企業の将来のコスト増を見込んだ早めの値上げや、家計の将来の値上げを見込んだ早めの消費が抑制されます。 その結果、物価の上昇が落ち着くというわけです。

政策金利の上昇が私たちの生活に与える影響

 これまでに説明したことから、政策金利の利上げにより、私たちの生活には以下のような影響が出る可能性があるといえます。

  • 物価上昇率が落ち着く
  • 家や車を買いづらくなる
  • 企業活動が鈍化する
  • 保有資産の価値が下がる

このように、政策金利を利上げすると、景気に多少ブレーキがかかってしまいます。 しかし、物価上昇率は安定します。 多くの人がインフレに苦しんでいる昨今、物価上昇率が安定するのはありがたいことですから、 景気の多少の犠牲はやむを得ないことかもしれません。

おわりに

 今回の記事では、日銀の政策金利が31年ぶりの高水準に引き上げられたことを受け、政策金利の定義、政策金利を操作する方法、政策金利が物価を安定させるメカニズム、政策金利の上昇が私たちの生活に与える影響について説明しました。

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