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【ミクロ経済学(6)】消費者の得の評価 ~逆需要関数、消費者余剰~

概要

 消費者がある財をある量だけ消費した時、どれだけ得をしたのでしょうか?また、その得は、財の価格変動によってどれだけ変化するのでしょうか?今回の記事ではこれらの問いについて論じます。

 なお、今回の記事では、以下の記事の仮定を引き継ぎます。 tioe.jp また、以下の記事の知識を前提とします。 tioe.jp 記事を読んでいて分からないことがあれば、適宜上記の記事を参照してください。

目次

逆需要関数

 この章では、この記事で紹介した需要関数から、消費者の支払意思を表す関数を導きます。

 さて、財1, 2 の単位量当たりの価格を p_1,  p_2とし、消費者の所得を Iとします。この時、財1の消費量 x_1は、

 x_1 = x_1(p_1, p_2, I)

のように、 p_1,  p_2,  Iの関数として表されるのでした。そして、この関数を需要関数というのでした。

 上記の式を、 p_2,  Iを固定したうえで、 p_1について解くと、

 p_1 = p_1(x_1, p_2, I)

のような式が得られます。この時の右辺を逆需要関数といいます。以後、 p_2,  Iはずっと固定して考えるため、この関数を p_1(x_1)と表します。また、需要関数も、同じ理由から x_1(p_1)と書くことにします。

 逆需要関数は、財1の消費量が x_1の時の、財1の単位量当たりの価格を表す関数です。これをやや無理やり解釈すると、逆需要関数は、消費者が財1をすでに x_1消費しているとき、追加で1単位を消費するために支払っても良いと思っている金額を表しているようにみえます。つまり、逆需要関数は消費者の支払意思を表しているのです。

消費者余剰

 この章では、前章で紹介した逆需要関数を用いて、消費者が財1を X_1だけ消費した時の消費者の得を表します。

 まず、消費者がまだ財1を消費していないところから議論を始めます。このとき、微小な量 \Delta x_1 = X_1/N ( Nは非常に大きい数)だけ財1を消費するために支払っても良い金額は、前章の解釈から、 p_1(0) \Delta x_1です。次に、さらに追加で財1を \Delta x_1だけ消費するために支払っても良い金額は、 p_1(\Delta x_1) \Delta x_1です。その次に、さらに追加で財1を \Delta x_1だけ消費するために支払っても良い金額は、 p_1(2 \Delta x_1) \Delta x_1です。これを X_1だけ消費するまで続けると、それまでに支払っても良いと思った金額の合計は、

 \displaystyle \sum_{i=0}^{N-1} p_1(i\Delta x_1) \Delta x_1 = \int_{0}^{X_1} p_1(x_1) dx_1

となります。 一方で、実際に消費者が支払った合計金額は、 p_1(X_1) X_1なので、消費者は、

 \displaystyle CS = \int_{0}^{X_1} p_1(x_1) dx_1 - p_1(X_1) X_1

だけ得をしたということになります。これを消費者余剰といいます。

 上記の定義式より、縦軸を財1の価格、横軸を財1の消費量として、逆需要関数を描くと、消費者余剰は下図の青色で示した領域の面積になります。

逆需要曲線と消費者余剰

価格変動による消費者余剰の変化

 この章では、価格変動による消費者余剰の変化が需要関数の積分として表せることを示します。

 いま、財1の価格が P_1から P_1 + \Delta P_1に値上がったとしましょう。この時、前章で説明した通り、値上がり前の消費者余剰は、下図の青色で示した領域の面積になります。

消費者余剰の変化は需要関数の積分で表せる

一方、値上がり後の消費者余剰は、上図の赤色で示した領域の面積になります。したがって、値上がりによる消費者余剰の損失 \Delta CSは、青色の領域から、赤色の領域を差し引いた領域の面積に等しいです。

 このグラフを、縦軸と横軸を逆にして見てみましょう。すると、以下の式が成り立つことが分かります。

 \displaystyle \Delta CS = \int_{P_1}^{P_1 + \Delta P_1} x_1(p_1) dp_1

ここで、 x_1(p_1) p_1(x_1)逆関数であるという事実を使いました、このように、価格変動に伴う消費者余剰の変化は、需要関数の積分として表せます。

まとめ

 今回の記事では、消費者がある財をある量だけ消費した時にどの程度得をしたのかを表す消費者余剰という概念を紹介しました。また、価格変動の際の消費者余剰の変化は、需要関数の積分として表せることを示しました。これらのことは今後の分析でも使いますので、ぜひ覚えておいてください!