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【ミクロ経済学(5)】様々な種類の財 〜上級財、中級財、下級財、普通財、ギッフェン財、粗代替財、粗補完財〜

概要

 価格や所得の変化に伴い、財の消費量は様々に変化します。今回の記事では、その変化のしかたによる、財の分類をいくつか紹介します。

 なお、今回の記事では、以下の記事のスルツキー分解に関する知識を前提とする部分があります。 tioe.jp 今回の記事で分からないことがあれば、適宜上記の記事を参照してください。

目次

上級財・中級財・下級財

 所得の変化に対する消費量の変化のしかたによって、財は上級財、中級財、下級財に大別されます。この章では上級財、中級財、下級財の定義とその例を見ていきます。

 所得が変化した際、その変化と同じ方向に消費量が変化する財を上級財といいます。一方、その変化と反対の方向に消費量が変化する財を下級財といいます。つまり、所得が上昇した時、上級財の消費量は増え、下級財の消費量は減ります。逆に、所得が下降した時、上級財の消費量は減り、下級財の消費量は増えます。最後に、中級財は所得が変化しても消費量が変化しない財のことです。

 上級財の例としては、旅行、高級ブランド品、外食などがあげられます。確かに、所得が増えると、それまで我慢していたこれらの財の消費が増えると想像できます。逆に、所得が減ると、これらの贅沢は節約の対象となって、その消費量は減るでしょう。

 中級財の例としては、お米、塩、トイレットペーパーなどがあげられます。確かに、これらは生活必需品なので、所得が増えても減っても消費量はあまり変化しないでしょう。

 下級財の例としては、中古品、発泡酒カップ麺などがあげられます。確かに、所得が増えると、これらの財の消費は新品、ビール、外食に代替されそうです。逆に、所得が減ると、節約のためにこれらの財の消費は増えるでしょう。

普通財とギッフェン財

 価格の変化に対する消費量の変化のしかたによって、財は普通財とギッフェン財に大別されます。この章では、普通財、ギッフェン財の定義とその例を見ていきます。

 価格が変化した際、その変化と反対の方向に消費量が変化する財を普通財といいます。一方、その変化と同じ方向に消費量が変化する財をギッフェン財といいます。つまり、価格が上昇した時、普通財の消費量は減り、ギッフェン財の消費量は増えます。逆に、価格が下降した時、普通財の消費量は増え、ギッフェン財の消費量は減ります。

 普通財の例はあげるまでもありません。ほとんどの「普通の」財は価格が上がれば消費量が減り、価格が下がれば消費量が増えるでしょう。

 ギッフェン財の例は、存在するのかどうか長く議論が続いていて、はっきりとした結論は出ていません。ただし、19世紀のアイルランドで起きたジャガイモ飢饉の際のジャガイモがギッフェン財だったのではないかとの説があります。

 ここで、ギッフェン財は少なくとも下級財である、ということに触れておきます。というのも、この記事でみたように、ある財の価格が上がったとき、代替効果はその財の消費量を減らす方向に働くからです。それでも消費量が増えるということは、所得効果が代替効果を上回るほど正の方向に大きいということです。所得が減ると消費量が増える財は下級財でしたから、ギッフェン財は下級財ということになります。

粗代替財と粗補完財

 前章では、任意の財の価格が変化した時の、その財自体の消費量の変化に注目しました。この章では、他の財の消費量の変化に注目し、その変化のしかたによって、財を粗代替財と粗補完財に大別します。また、それらの財の例もみていきます。

 ある財の価格が変化した際、その価格の変化と同じ方向に消費量が変化する他の財を粗代替財といいます。一方、その価格の変化と反対の方向に消費量が変化する他の財を粗補完財といいます。つまり、ある財1の価格が上昇した際、別の財2が粗代替財であれば、財2の消費量は増え、粗補完財であれば、財2の消費量は減ります。逆に、財1の価格が下降した際、財2が粗代替財であれば、財2の消費量は減り、粗補完財であれば、財2の消費量は増えます。

 粗代替財の例としては、コーヒーに対する紅茶、牛肉に対する豚肉、バターに対するマーガリンなどがあげられます。確かにこれらの財は、もう一方の財の価格が上がれば、その代替品として消費されそうです。逆に、もう一方の財の価格が下がれば、今度はそちらへ消費が流れていくことが想像できます。

 粗補完財の例としては、コーヒーに対する砂糖、牛肉に対する赤ワイン、バターに対するパンなどが挙げられます。これらの財は、もう一方の財とセットで買われることが多いので、もう一方の財の価格が上がれば、その財と一緒に消費量が減りそうです。逆に、もう一方の財の価格が下がれば、その財と一緒に消費量が増えることが想像できます。

 ここで、粗補完財の所得効果の向きと大きさについて触れておきます。この記事でみたように、ある財の価格が上がったとき、代替効果は他の財の消費量を増やす方向に働きます。それにもかかわらず、後者の財が粗補完財である場合、その消費量は減ります。ということは、所得効果が代替効果を上回るほど負の方向に大きいということです。逆に、ある財の価格が下がったとき、代替効果は他の財の消費量を減らす方向に働きます。 それにもかかわらず、後者の財が粗補完財である場合、その消費量は増えます。ということは、所得効果が代替効果を上回るほど正の方向に大きいということです。このように、粗補完財では、所得効果が、他の財の価格の変化と反対の方向に、代替効果を上回る大きさで働きます。

まとめ

 今回の記事では、所得や価格の変化に対する消費量の変化のしかたによって、財を様々に分類しました。具体的には、上級財、中級財、下級財、普通財、ギッフェン財、粗代替財、粗補完財という分類を紹介しました。また、ギッフェン財は下級財であること、粗補完財では、所得効果が、他の財の価格の変化と反対の方向に、代替効果を上回る大きさで働くことにも触れました。